院長Blog

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こころ温まるお話「よーい、どん」

「よーい、どん!」
高校の通学路にある坂道で、僕は必死にペダルを漕ぐ。隣では友人のダイチがやはり必死にペダルを漕いでいる。
家が近所で一緒に登校している僕らにとって、坂道競争は平日朝の恒例行事だ。

洒落っ気に目覚めてロードバイクなんかで通学する生徒が増えている中、ダイチは弟のチャイルドシートがついたままの、ダサいママチャリ。
もうシートは使われてないのに、荷物置きに便利だからと取り外さないところがダイチらしい。
周りにどう見られるかより「自分」を持っている。そんな友人を前に、僕は少し劣等感を抱いていた。

僕はといえば見栄を張ってばかり。
服や靴は好みよりも流行りのデザインを選んでしまうし、クラスで話題のマンガがあれば興味がなくてもチェックする。
浮いてしまうのが怖いから、周りに合わせ流されながら過ごしていた。そんな僕は、きっと世界の中でもピンボケした存在だ。
ちゃんと自分の意志を表現できる友人に、僕は敵わないと思っていた。

先日、そのダイチに相談をされた。卒業後の進路のことで、大学か専門学校かで悩んでいるらしい。
僕は安定性なんかを気にして、比較的選択肢を広く持てるように大学の経済学部へ進学するつもりでいた。
でもダイチはダイチらしく、やりたいことが明確なのだから実践的なスキルが学べる専門学校がいいと個人的には思う。
そんなことを伝えると、ダイチは言った。

「やっぱオマエには敵わんなぁ」敵わないと思っていた奴に敵わないと言われ、僕はキョトンとした。
「へ?なにが?」と問いかける僕に「オマエみたいにちゃんと周りが見えてる奴、ほんま尊敬するわ。俺ってめっちゃ身勝手やけんさ、正直敵わんよなぁって思う」と答えられた。ぶっちゃけ背中押されたわ、という声がやけに胸に沁みた。

「よーい、どん!」僕らはそれぞれの自転車で、今日も明日も坂道を上る。
僕はロードバイク、あいつはママチャリ。それぞれのペダルを、僕らは必死に漕いでいる。どっちが先に上り切るかなんて、本当はそんなこと、どうでもいいのかもしれない。

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