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こころ温まるお話「中二の春」

       

「誰とも同じクラスになれなかった…あやか達は一緒なのに、ずるいよね!」

 

始業式。クラス替えで仲良しの友達とクラスが分かれてしまった娘は不機嫌だ。
さっきから愚痴のオンパレード。

 

「担任も畑野だしさ…最悪、絶対つまんない」

いかにも中二。なにからなにまで気に入らないらしい。

 

「誰とも同じじゃないって…30人以上クラスにいるんだから
それだけ新しく友達が増えるチャンスでしょ。少し見方を変えたら?」

と言うと、

 

「は?…あやか達いないと超つまんないし!」

とイライラの矛先が私に変わったのか、プイッとそっぽを向いて自室に行き、閉じこもってしまった。

 

そのまま、1週間ほど娘の様子を見ていると、だんだんとクラスに対するイライラが落ち着いて来たようだった。

 

娘に「新しいクラスはどう?」と聞くと、「うん…ま、大丈夫」と言う。

 

「友達はできた?」

 

「…まあね。話してみたら、結構いい子ばっかりだったよ」

 

と、少し照れくさそうに言う。それから娘はせきを切ったように話しだした。

 

何でも、一人になっちゃった、と不安になっていたのは自分だけではなかったと分かり、それについての愚痴で大いに盛り上がったのだとか。
それがきっかけで、あっという間に新しい友達ができ、今では「超楽しい」のだそうだ。

 

「良かったね」というと、「うん」とかわいい顔で微笑む。

このまま1年間「つまんない」モードだったら、と心配していた私もホッとした。

 

「じゃあ、畑野先生の数学も頑張らなきゃね」

…(しまった!余計なことを言ってしまった!)と
気づいた時にはもう遅かった。

 

「何それ。なんかすごいムカつくんだけど」

 

あっという間に娘の表情が変わり、中二イライラ病が復活してしまった。
反抗期真っ盛り。娘との戦いはもうしばらく続きそうだ。

     

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