院長ブログです
毎朝、ギリギリまで寝ている僕はいつも自転車をとばして学校に滑り込む。
今日もいつもと同じ朝…のはずだったが、途中でハプニングが発生した。
おばあさんとぶつかりそうになったのだ。急停車してぶつからずにすんだが、おばあさんは尻もちをついていた。
(危ねー!ひくところだった!)
しかし僕はぶつかってはいないし、と、おばあさんをおいてそのまま学校に来てしまった。
その日の午後、僕は職員室に呼ばれた。今朝の件でおばあさんの家族から連絡があったらしい。
「幸い大きなケガはなかったそうだが、ご家族は大変お怒りだ」
「えっ!」
(なんで自分だとバレたんだろうなぁ)などと、そんなことばかり考えていた僕はことの重大さに青ざめてしまった。
もちろん親にも連絡が行き、夜、母と一緒におばあさんの家に謝りに行くことになった。
「本当に申し訳ありませんでした!」
激怒しているおばあさんの家族に、何度も頭を下げる母。僕は“いつも猛スピードで自転車に乗っている中学生”として、近所で有名だったそうだ。
「いつか事故を起こすと思っていたんですよ!」
…しばらくすると、奥からあのおばあさんが現れた。
「もう、その辺にしておいてあげてよ」
そう言って、半泣きの状態の僕に笑顔を向けてくれた。
「もう、十分反省したでしょ?今回は大ごとにならなくて良かったけど、今までみんなとても怖い思いをしていたのよ。それだけは覚えておいてね」
その晩、僕は眠れずにいろんなことを考えた。
転倒したおばあさんや頭を下げる母の姿。
そしてあの時の自分の無責任な態度。
こんな僕にも反省するチャンスをくれたおばあさんや一緒に謝ってくれた母のためにも、もう二度と同じことをしてはいけない。
僕は今までよりも30分早く目覚まし時計をセットした。