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こころ温まるお話「古びた紙切れ」

       

今度の三連休、どこか行きたい場所はあるかと八歳の息子と六歳の娘に聞いてみたところ、なぜか返事がない。

具合でも悪いのかなと妻に聞くと、軽く笑いながら「そんなことはないと思うよ」と否定するだけ。

一体どうしたのかとしばらく考えると、思い当たることはあった。
最近仕事が立て込んで疲れており、子供たちへの応対が少し雑になっていた気がする。

まさかそれが原因で嫌われてしまったのか。
これはマズイと思い実家の父に電話して相談すると、こんな言葉が返って来た。

「同じようなことがあった時、お前は親を嫌いになったか?多分、どこかで勤労感謝の日のことを聞いて気をつかってるんじゃないか」

ハッとした。さっきの妻の態度からして間違いなさそうだ。
ならどうしようかとまた意見をもらおうとすると、それは自分で考えろと言われてしまった。

しかし最後に「子供を楽しませたいなら、親も一緒に楽しむことだ」とアドバイスをもらったので、それを元に妻とも改めて話し、自分が行きたいから一緒に来てという方向で説得することに。
遊園地に行った後に実家を訪れる計画を立てると、子供たちも喜んでくれた。

三連休の二日目、実家に向かう車の中で「自分は子供の頃に両親を気づかったことなんてあったかな」とふと考えたりした。実家に着くと、子供たちが先日私たちにもくれた肩たたき券を祖父母にも差し出す。

ところが父は「それはパパとママに」と受け取らず、代わりにポケットから古びた紙切れを取り出してこう言った。

「おじいちゃんたちはこっちを使うから」

よく見るとご丁寧に私と両親の名前まで書いてある、黄ばんだ肩たたき券。
これには思わず、その場の全員で笑ってしまった。

     

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