院長ブログです
小柄でおとなしいクラスメイトのAは、いつも自分の席で黙々と勉強をしている。そしてそれを「真面目クン」「暗い」「やるだけ無駄」とからかうやつらがいる。自分が言われるわけではなくても、聞いていていやな気持ちになる。
でも、僕はそれに「やめろ」と言えるほど強いわけではない。友達と大声で笑いながら話すことでそれに気づかないふりをして、時が過ぎるのを待つしかできないのだ。
今日も、勉強中のAが囲まれた。
「今日もお勉強ですかぁ~?えらいですねぇ~」
はじめはいつも通り無視をしていたAだったが、今日は特にしつこかったのか、初めて「うるさいな!」と彼らを一喝した。
「俺が何かお前らに迷惑かけたか?俺は将来やりたいことがあるから、それに向かって頑張ってるだけだよ。今サボってあとで後悔したくないからね!お前らにはなにかあるのか!?」
教室は一瞬で静まり返った。囲んでいたやつらもビックリ顔で固まっている。
「…なんだよ…急に怒るなよ…」
いつもおとなしいAが声を荒げ、激怒したことにかなり驚いているようだ。
教室中が成り行きを見つめる中、キッとにらみつけたままのAに何も言い返すことができず、「行こうぜ」と、逃げるように去って行った。
正直、今までおとなしくて人とあまり関わろうとしないAをクラス全体が見下している雰囲気があった。
しかし、そのAが、「明確な目標を持ってそれに向かって努力している」と堂々と宣言をしたのだ。その日から誰もAをからかわなくなった。それどころか密かに一目置かれる存在となったのだ。
からかいの対象が自分に変わるのを恐れ、何もできなかった僕よりも、実はAの方が何倍もしっかり芯のある、男らしいやつなんだろう。自分も変わらなくては。そう思わされた出来事だった。