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こころ温まるお話「家庭菜園」

       

y3この春から市民農園を借り、野菜作りを始めた。全くの素人である私達がそんなことを始めた理由。それはせっかくの週末をショッピングモールでなんとなく過ごすことが多い我が家の現状を立て直したい、という妻の意見からだった。

子どもは3人。3歳の二男は耕したふかふかの土を素足で歩くのが気持ち良くて、2年生の長男と二人ではしゃいでいる。大きなミミズや虫が出てくると、6年生の長女は「ギャーー!!!」と叫んで逃げ回っていた。

早速、ミニトマトや枝豆、人参を植えてみた。子どもたちは普段食べている人参の栽培に想像以上に手間がかかることに驚いたようだ。間引き、追肥、土寄せ、また間引き…。そうしてようやく少しずつおなじみの人参の姿になってくる。スーパーに並ぶ人参しか知らない子どもたちは、人参のヘタの上にはふさふさの葉っぱが生えている、ということすら初めて知ったのだ。

いよいよお待ちかねの収穫の時が来た。「自分で作った作物はおいしい」…巷でよく聞く話だが、実は半信半疑であった。ところが朝採りのトマトやもぎたての枝豆、特に人参の葉を使ったかき揚げは人参嫌いの子供たちがパクパク食べるほどおいしかったのだ。噂は本当だった!心なしか、食べ物を大切にする気持ちも育ってきた気がする。

家庭菜園を始めた一番の収穫は家族共通の話題ができたこと。y4始めは「メンドクサイ」と言っていた長女も今では密かに週末を楽しみにしており、いつの間にか虫に騒がなくなった。弟たちは畑で虫を捕まえて育てている。やがて大人になり、巣立っていく子供たち。このひとときが家族で過ごした楽しい思い出になってくれればいいな…。そんなことを考えながらまた本を開き「次は何を植えようか…」と思いを巡らせるのだ。

     

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