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こころ温まるお話「居酒屋バイト」

       

大学入学をきっかけに、僕は人生で初めてのバイトを始めることにした。
時給がよくて、大学の授業とも被らない居酒屋に決めたのだが、予想以上に忙しく大変だ。

注文を間違えたり、お酒の作り方を間違えたり、厨房での細かなミスが重なり落ち込んでいたころ、更に追い打ちをかける失敗を犯した。
お客様の洋服にウーロン茶をこぼしてしまったのだ。慌てて謝る僕に対して「着古した服だし、ベタつくものでもないから気にしないで」と、
逆に慰めてくれ、余計に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

退店時、店長と一緒に頭を下げる僕にその人は「ほんとうに大丈夫だから」と、頭を上げるように促した。
「お店の雰囲気が好きだからよく来るんだけど、矢部さんは特に元気がよくて、いつも見ていると嬉しい気持ちになるんだよ」
いつの間にか名前まで覚えていてもらい、落ち込んでいるときに優しい言葉をかけてもらったからだろうか。目頭が熱くなるのを感じて、少し目を伏せる。
「また来るんで、よろしくお願いしますね」
そういって、お客さんは足取り軽やかに帰っていった。
あとから聞いた話では、そのお客さんは「戸田さん」といって、長らく通ってくれている常連さんだという。

戸田さんは先日の言葉通り、そのあとも定期的に来店してくれた。
目が合ったり近くを通ったりした際に挨拶までしてくれるようになり、それがとても嬉しかった。

春も終わり、戸田さんの言葉を励みに頑張っていたおかげか、バイトにもすっかり慣れ、
自信がついた頃、店長から戸田さんがもう来ないことを聞かされる。
「ちょうど矢部君のシフトが入ってないときに挨拶してくれたんだけど、急な転勤で来られなくなるって」
少なからずショックを受ける僕に、店長は『これからも遠くから応援してます!頑張ってね』という戸田さんの言葉を伝えてくれた。

それからさらに数か月、バイト終わりに店長に呼び止められ、スマホの画面を見せられる。
そこには僕の働く姿を収めた写真と『一生懸命考えて働いて、その姿をTさんに見てもらう!その一心で頑張るうちのホープです!』
というコメントが書かれた、うちの店のSNSが映っていた。

「ちょっと店長!勝手に─」そう言いかける僕にニヤリと笑って指をさした先には、「いいね欄」に並んだ『Todaちゃん』の文字があった。

     

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