院長ブログです
今年僕は成人式を迎える。中学から私立に進学した僕は「地元の友人」と呼べる人がいないので参加しないつもりだった。でも、「一生に一度なんだから…」と両親に諭され、気は重いが一応出席することにした。
当日僕は会場の隅に一人座り、昔の友人たちの姿を眺めていた。みんな楽しそうだが、少し騒ぎ過ぎのやつらもいて、(TVで見るような荒れた成人式にはするなよ…)と思っていた。
案の定、壇上に市長が挨拶に立っても騒がしくて誰も聞いていない。
「本日はおめでとうございます。市長の佐藤です…」
僕も、決まりきった退屈な話だろうと半分だけ耳を傾けるくらいだった。
「実は私はみなさんが小学1年生の時にA小学校で担任をしていました…」
(え!?)
「あー!佐藤先生だ!」という声とともに歓喜の声があがった。その声の発信元はずっと騒いでいたあいつら。もちろん僕もびっくり。A小は僕の母校なのだ!
「当時、君たちは泣いたり笑ったり、とてもかわいい子どもたちでした。こうして今、大人の仲間入りをされたことに深い感慨を覚えずにはいられません…」
騒がしかった会場は話が進むにつれ、だんだん静かになっていった。
「今日、無事に成人式を迎えられたのは、ご家族や、色々な方の支えがあってのことです。そのことを忘れず、10年後、20年後に自分を誇れる大人となっていてくれることを祈っています」
最後にはみんな静かに先生の話を聞いており、挨拶が終わると会場は温かい拍手に包まれた。
あいつらもやはり、6歳の頃を知る人の前では幼い頃の素直な気持ちに戻っていたのかな。行くつもりのなかった成人式。結局僕は友人たちに見つかり、一緒に呑みにまで行って盛り上がった。そこには昔と変わらない友人たちの姿があった。