院長ブログです
特に寒さが厳しいある朝。私は一緒に住む孫を幼稚園に送って行こうと手をつないで歩いていました。
「おばあちゃん、手袋つけて来なかったの?ぼくの手袋片っぽ貸してあげるよ」
「あら!ありがとう…。たっくんはやさしいねぇ」
「うん!!だっておばあちゃんには優しくしましょうって、幼稚園の先生が言ってたよ」
おばあちゃん、とはいっても、60代になりたての私。幼稚園の男の子に守られるほど弱々しくはないのですが、(まだまだ元気な「おばさん」よ!もう!)と思いながらもやさしい孫からちっちゃな手袋を片方受け取り、指先にちょこんとはめて「あったかいよ、ありがとう」と言うと、その笑顔にうれしくなった孫はニコニコ。
日陰で凍った道に差し掛かると「あ、おばあちゃんそこ滑って転んじゃうよ」
とつないだ小さな手がぎゅっと私の手を引いて凍っていない方へと誘導してくれました。それはそれはやさしくて頼もしい王子様のようでした。]
あれから10年。孫は中学3年生になり、今年は受験生。
将来に向けて寝る間も惜しんで勉強しているようです。
小さかった身体も今や私の背をゆうに追い越し、見下ろされるほどになりました。もちろん反抗期真っ只中。親には「うるせー、ウザイ」なんて言っているけれど、『おばあちゃんに「だけ」やさしいたっくん』なのは今でもあの頃のまま。いつのまにか自分よりも小さくなったおばあちゃんが届かない、高い場所にある物や重い物を軽々と運んでくれ、本当に頼もしい限り。
今年のクリスマスにはすっかり大きくなったその手にぴったりのあったかい手袋を買ってプレゼントしましょう。風邪をひかずに、暖かく明るい春を迎えられますように…。