院長ブログです
なんで毎年父の日なんてあるのだろう。
世間では、いつも頑張っているお父さんに感謝の気持ちを伝えましょうとか、プレゼントを渡しましょうとか言っているが、私は一度も父の日に何かを贈ったことがない。
父はいつも仕事で忙しい。
休日も仕事で家を空けることが多く家族全員で出かけたことがない。
仕事ばかりで私の学校行事には参加してくれないし、誕生日やクリスマスも一緒に過ごしたことがない。家に居たとしても父は口数が少ないため、何を考えているのかわからない。
そんな父だから私は父のことがあまり好きではない。
父の日が近づいたある日、玄関に汚れがひどくかなり履きつぶされてクタっとした革靴が置いてあった。
「お母さん、玄関にある汚い革靴は誰の?」
「あれはお父さんの仕事用の靴よ」
「えっ!?あんなの履いてるの!?」
父が、普段からあんな靴を履いて仕事に行っているのを知った途端、ますます父のことがイヤになった。
「なんであんなに汚れた靴履いて仕事行ってるの?お母さん新しいの買ってあげなよ!」
すると母の口から意外な答えが出てきた。
「あの靴は、あなたが生まれたときの記念に買った靴なの。
あなたが生まれて、これからは家族が増えるからもっと頑張って仕事していくんだって、当時の少ないお給料から奮発して高い良い靴を買ったの。
その時の気持ちを忘れないように今もずっとその靴を履き続けているそうよ」
父の決意が込められた靴だったなんて、さっきは汚い靴だとか言ってしまったことを後悔した。
父は久しぶりの休みで今日はずっと家で寝ている。
私は下駄箱からブラシと汚れ落ちのクリーム、布切れを用意し、父の革靴をきれいにすることにした。
お父さん、いつもありがとう。これからも体に気をつけて頑張ってね。