院長ブログです
その日は連休で、高速道路は大渋滞。やっとのことでパーキングエリアに到着し、お手洗へ向かいましたがやっぱりそこも大行列。(やれやれ…)と列の最後尾に並び、ようやく次は私の番、という時、突然背後から大きな声が。
「ほら、早く!ここに入れてもらいなさい!」
振り返ると、そこには小さな女の子とその母親がいました。
「すいませんねぇ、この子がもう我慢できないらしくて…。ほらお姉さん入れてくれるって!良かったわねぇ」
と、私が何か言う前にちゃっかり最前列に入ってしまいました。私は唖然。
(まぁ、小さい子が我慢できないなら仕方ないか…)と思い、やり過ごしましたが、なぜかその子がずっとうつむいていたのが印象的でした。
次は食事…と、私はまた列に並んでいました。すると、またあの親子が「小さい子が…」と言いながら横入りしようとしているのが目に入りました。2度目ともなると、さすがにこちらも苦々しい気持ちになります。周りも呆れたような冷ややかな目。
すると、うつむいていた女の子が母親の袖をひっぱり、涙声でこう言ったのです。
「ママ、もうこういうのやめようよ…。ななみ、おトイレも、ごはんもちゃんと順番守れるよ。幼稚園のお友達もみんな順番守れるよ。なんでママはちゃんと並ばないの…?ななみ、恥ずかしい…」
母親はさすがにマズイと思ったのか、その子を連れてそそくさと立ち去り、周囲にはホッとした空気が流れました。
あの子はきっと勇気を振り絞って、お母さんの袖を引っ張ったことでしょう。大好きなお母さんを「恥ずかしい」と言わざるをえなかったななみちゃん。小さなあの子の勇気がどうかお母さんに伝わりますように。観光客で賑わうPAで見かけた、心に残る出来事でした。