院長ブログです
「今日も疲れたなぁ…」
今日はさんざんな1日だった。昨日夜遅くまで残業してまとめておいた資料を「あー、やっぱりコレ、いらなくなっちゃった」と上司に言われ、朝から気分は最悪。今日の仕事も何度も途中でやり直しになり、そのたびに上司に「違うんだよねぇ…そもそも君はね…」とほかの社員の前で以前のミスをしつこくつつかれ、嫌みを言われる始末。
もともと最近自信を喪失気味だった僕は、今日1日ですっかり落ち込んでしまった。疲れ切った僕は終電間際で混み合う帰りの電車内で優先席に1つ空席を見つけ、座り込んだ。
そのままうつむいているうちにいつの間にか眠ってしまったようだ。ハッと目を覚まして上を見上げると、そこには70代半ばくらいのおじいさんが立っていた。
「あ、すみません…!」と席を譲ろうとすると、「いいよ、いいよ」と制止する。「若い人の方が疲れている時もあるんだから」と言う。
「あんた、ずいぶん疲れてるなあ。ちゃんとメシ食って休まなきゃいかんよ?ほら、甘いもんでも食べな」などと言いながら日に焼けたしわしわの手で飴玉をひとつ、僕の手に握らせた。
思いがけず出会ったぶっきらぼうだけど優しいおじいさん。なんだか久しぶりに温かい言葉をかけられた気分になり、混み合う電車の中で不覚にも涙が出そうになってしまった。ここ何日か疲れているのに逆に目が冴えて眠れなかったけれど、その日はなぜかよく眠れた。
翌日。今日もいい天気だ。駅まで15分の道のり。昨日おじいさんからもらった飴玉をポケットから取り出した。昔ながらの甘露飴。光にかざすときれいな琥珀色をしている。
(よし、今日も頑張ろう…!)朝の空気を吸い、すがすがしい気持ちになりながら、僕はパクっと口に飴を放り込んだ。