院長ブログです
繁忙期ということもあるが、このところは仕事が特に忙しい。
帰りは遅く、たまの休みも疲れに負けてついつい寝て過ごしてしまう。
「これから出かけるけど、パパも行く?」
「ふたりで行ってきていいよ」
前は休日になると家族そろって出かけたりしていたのに、いつしかこんな会話が当たり前になり、我が家からはすっかり笑顔が消えていた。
「たまには気分転換に、公園でピクニックでもしない?」
ある日、妻が少し言いづらそうに切り出した。
気を使わせてしまっていたことに気づき、このままではいけないと気持ちを切り替えることにした。
「そうだな、今度の日曜に行こうか!」
私がそう答えると、そばで話を聞いていた息子が何かを作り始める。てるてる坊主だ。
息子の作ったてるてる坊主を妻が窓際に飾ると、ふたりは手を合わせて祈った。
「日曜日、晴れますように!」
しかし、当日は残念ながら雨。
楽しみにしていた息子は、窓の外を眺めながらひどく落ち込んでいた。その背中に、ふと幼い頃の自分を重ねる。
私の父はあまり家におらず、珍しく家族揃って外で遊ぶはずだった日が生憎の雨。
落胆する私を見た父が、カーテンを使った即席テントを部屋に作って一緒に遊んでくれたっけ。あの時はすごく嬉しかったな。
その時の気持ちを思い出し、私は父にならってみることにした。
「今日はお家でピクニックごっこをしよう」
妻も息子もきょとんとしていたが、クローゼットにしまい込んでいたテントをリビングに広げると、息子は目を輝かせて中に入っていった。
「パパとママも、一緒に入ろうよ」
そう言って、私たちの顔を交互に見る。
3人で入ったテントの中はすこし窮屈だったけれど、我が家には久しぶりに3人の笑い声が響いていた。
「次は晴れた日に、お外でピクニックしたいな!」
私は大きくうなずき、今度は家族みんなで特大のてるてる坊主を作ることにした。
「来週は絶対に晴れますように!」