院長ブログです
3歳の息子は近ごろ『なぜなぜ期』だ。
少し前までは
「これはなに?」
「あれはなんて名前なの?」
なんて簡単な質問ばかりだったのに、近ごろは
「ぼくは何で空を飛べないの?」
「あの車が赤いのは何で?」
といった、答えに困る質問が増えてきた。
なんとか答えるようにしていたけど、あるとき「ママはどうしてママなの?」と言われ、上手く答えることができなかった。
そんなある日、私の母が遊びに来てくれた。
「最近やっと出かけやすくなったから、久しぶりに遊びにきたよ」
母が面倒をみてくれているあいだに、私は家事を済ませてしまうことにした。
すると、息子が絵本を指差して「どうしてでんでん虫は晴れの日お外にいないの?」と言い出す。
また始まったか、と思いながら様子を見ていると、母は少し笑ってから「じゃあ、雨の日はどうしてお外にいるんだろうね?」と、逆に質問した。
息子が「うーん?」と唸っているあいだ、母はニコニコしながらじっと待っている。
ほどなくして、息子は「からだを洗いたいから!」と答えた。
「そうかもしれないね。あ!じゃあ、晴れの日は何をしてるんだろうね?」
母がそう返すと、ふたりは「お昼寝してる」とか、「雨の場所を探して旅をしてる」とか、正解など気にせず、想像を膨らませながら笑っていた。
「あなたのときはもっと大変だったわよ」
息子が遊び疲れて眠っていると、母はその寝顔を見ながら懐かしそうに呟いた。
「でも好奇心を奪っちゃいけないと思って、『一緒に考えてみよう』って言ったら、今度はあなたが答えてくれるようになって、それが楽しかったんだよね」
思い返せば、私は幼いころから自分で考えたり、空想したりするのが好きだった。
それは母が、私の『想像の芽』を温かく見守ってくれたおかげだったのかもしれない。
私も母のように、息子の想像の芽を大切にしていきたいと思う。
もう一度「ママはどうしてママなの?」と聞かれたらなんて答えようか。
「あなたに会いたくてママになったんだよ」と言ったら、なんて答えてくれるかな。
私は眠る息子の頭を撫でながら、“想像”してみることにした。