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こころ温まるお話「駄菓子屋の鬼ばぁば」

       

うちの近所には昔ながらの駄菓子屋さんがある。
それは小学校の近くにあって、放課後には子どもたちのたまり場になっていた。
今年40代に突入した僕も、小学生だった頃には通い詰めていたお店だ。
ずっと変わらないその憩いの場には、いわゆる「名物店主」がいる。

こないだ鬼ばぁばにさ……と話す、ランドセルを背負った少年たちの声を耳にすると、僕はついくすりとしてしまう。
駄菓子屋の店主は今も昔も子どもに厳しく、小学生の間では「鬼ばぁば」と恐れられているのだ。

僕はかつて、付属の「おまけ」が欲しいあまり、お菓子そのものを食べずに捨てようとしたことがある。
当時は「鬼ばぁば」に、まさに鬼のように怒られた。その剣幕には面食らったものだ。
そんな僕も所帯を持ち、今や子どももいる。大人となった今では、もちろん叱られた理由も理解できる。

ある週末のこと。駄菓子屋の前を通り過ぎると、「こらっ!」という懐かしい声が聞こえてきた。
おやおや、鬼ばぁば発動かなと苦笑しつつ店内をちらりと覗き込んだ僕は、思わぬ光景にぎょっとした。
なんと、叱られているのは僕の息子ではないか。どうやら友だちと喧嘩をした息子が、食べかけのお菓子を相手に投げつけたらしい。
確かにそれはよくない。
僕も不満顔でいる息子をたしなめると、しばらく息子は面白くなさそうにしていたが、やがて渋々と頷き、友だちに謝った。
すると駄菓子屋の店主が、わかればええんよと言いながら息子の頭を優しく撫でた。
あれ?と僕は思った。鬼ばぁばってこんなに優しかったっけ。さすがに少しは丸くなったのかな。
そんなふうに思った瞬間、息子の姿にかつての自分が重なって見えた。
お菓子を捨てようとして叱られて、不満そうに謝る僕の頭を優しく撫でる、鬼ばぁば。

「叱ってくださり、ありがとうございます」ずっと変わらない店主に、僕は自然と頭を下げていた。
それはきっと、30年前の自分からの「ありがとう」だ。

     

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