院長ブログです
小学5年生になる息子は、近頃少しフクザツなお年頃のよう。
運動会に私たち両親のほか、親戚まで来るのが恥ずかしいらしい。
あまりにイヤがるので、私はつい「ご両親がお仕事で来れないひとし君に比べたら幸せでしょ!!」と言ってしまった。親友のひとし君の名前をこんな形で出してしまうのは、我ながら良くなかったと思う。
そして当日のお昼休み、みんなで一緒にお昼を食べていた時だった。
「お前は良いよなー。ウチは人多すぎて恥ずかしいよ」と言った。この親にしてこの子ありか。
思いやりに欠ける一言に、夫のかるいゲンコツが飛んだ。
すぐに家族でひとし君に謝ったが、彼は気にしていない様子で話してくれた。
「俺も友達といるの見られるのは恥ずかしいけど。母さん、俺がアンカーって言ったら自分も走るの得意だったって喜んでたし、走るトコは見せたかったな」
ひとし君の言葉に、息子も思うところがあったようだ。
「‥‥そっか。ウチの父さん達がひとしの出番もしっかり撮影してるし、ひとしのお母さんに良いトコ見せよう」
お昼休みが終わると、2人は揃ってクラスに戻った。
迎えたリレーの時間、嬉しい驚きがあった。
ひとし君のお母さんが仕事を抜け出して応援に来たのだ。
彼のお母さんも見守るなか、息子たちのクラスは見事1位に輝いた。お母さんは友達同士ハイタッチする姿に涙を浮かべながら笑顔で眺めたあと、仕事に戻るため校門に向かった。息子は私たち家族の大きすぎる歓声から逃げるように、ひとし君と一緒に見送りに行った。
その日の夜。
私が昨日の言葉を反省して謝ると、息子はテレた様子で「来年も‥‥応援、よろしく」と小さくつぶやいた。