院長ブログです
娘が幼稚園で年中のとき、『うさぎ組』で担任だったゆみ先生は、常に一歩引いた感じのおとなしい先生だった。でも、真面目で笑顔を絶やさず、子どもたちに対して一生懸命なのが伝わってくる。そんな先生が子どもたちは大好きだった。
ゆみ先生は、娘が年長に進級する春休みに結婚。それを機に担任からは外れ園児全体のサポート役のような立場となり、自然と子どもたちと深く関わることが減っていった。
そしてさらに時は過ぎ、娘はもうすぐ1年生。卒園式も近いある日、情報ツウのママから「ゆみ先生、ご主人の転勤で辞めちゃうらしいよ!」と聞かされた。すると、『元うさぎ組』のみんなが動き出した。
「ゆみ先生にサプライズを仕掛けよう!」
涙涙の卒園式が終了し、園庭でひとしきり年長組での名残を惜しんだ後、作戦実行。じょじょに園庭のはしっこにうさぎ組が集合。案の定、目立たぬように笑顔で卒園生を見送っていたゆみ先生を、子どもたちが引っ張ってきた。
「みんな、どうしたの!?」という先生を前に、子どもたちが大きな声で「ゆみ先生ありがとう、元気でね!」と、花束を渡すと、たちまち先生の目から涙があふれ出した。「みんな…ありがとう…」久しぶりにクラス写真を撮り、うさぎ組の時のように、先生が子ども一人ひとりを「ぎゅっ」としてくれて、お別れをした。
その後しばらくして、引越先の先生からハガキが届いた。
「先日はありがとうございました。私にとって最後の担任だったうさぎ組さんにあのように送ってもらえるとは夢にも思っておらず、本当に感激しました。かわいいみんなの笑顔はずっと忘れません!お元気で…」
あれから3年。ゆみ先生がお母さんになったと風のたよりで聞いた。きっと、笑顔のすてきな優しいママになっていることだろう。