院長ブログです
小学4年生の夏、僕は家でワーワーと騒いでいた。
夏休みの宿題の一つ、絵日記に書くことがなかったのだ。
絵を描くのは得意な方だけど、肝心の日記の内容が何一つ思い浮かばなかった。
そんなこんなで両親に八つ当たり。
友だちのお家は旅行に行ったりして書くことに困らないのに、ウチはお盆のおじいちゃんの家くらい。
人によって難しさが違う宿題は不公平だー!なんて騒ぎ立てていた。
そんな時、父から受けたアドバイスが印象的だった。
「いつも日記を書いてる人だって、毎日何かイベントが起きてるわけじゃない。
大きなことじゃなく、小さなことに目を向けたらいくらでも書けるさ。
些細なことでも何かを感じた時のことを忘れないようにして、それも浮かばなかったら後は自分で書けそうなことを作ればいい。
小さなことだって別に恥ずかしくなんかないんだから」。
この話を聞いた僕は、子供ながらに「テレビを見た、ゲームをした」とかはダメかなと思い、何もない日は母の家事を手伝ってそれを書いてみた。
クラスの友だちと遊んだ日は、出来事より感じたことを中心に書くことにした。
例えば野球をした時のことなら、勝敗より楽しかった瞬間のことをまとめた。
結果、絵日記は先生から高く評価されたようで、クラスでそれぞれ日記を音読する時には僕だけ少し多く読むように言われたり、友だちから「お前の日記で負けたことだけじゃなく楽しかったことも思い出した」と褒められたりして、その時の話題でまた盛り上がれた。
あの嬉しさが元で僕は日記をつけるようになったのだけど、最近この絵日記を押入れで見つけて読んでみたら、なんと最初のページは父のアドバイスをそのまま書いた内容!
これには思わず家族全員で笑ってしまった。